JST 大学発新産業創出基金事業 / GAPファンドプログラム ステップ1 (2026) / 研究代表
ライティング・ロボットの事業化検証
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本プロジェクトは、照明に「生物のような動き」を与えることで、人の注意や行動に自然に働きかけるライティング・ロボット「Willuminations」の事業化可能性を検証するものである。Willuminationsは、“Will”と“Illumination”を組み合わせた名称であり、複数の吊り下げ型照明ロボットが多軸方向に動きながら、光の位置、向き、動き、リズムを協調的に変化させる群制御型の照明システムである。従来の照明が空間を静的に明るくする設備であったのに対し、本システムは、空間の状況や演出意図に応じて振る舞いを変え、光そのものを空間内で動くメディアとして活用することを特徴とする。
人は、静止した対象よりも、生物を想起させる動きや予測しにくい変化に本能的に注意を向ける。この性質を利用することで、映像や音声、文字情報を追加するだけでは得られない高い注目喚起効果を実現し、展示、イベント、店舗、ホテル、公共空間などにおける空間体験の価値を向上させる。複数の照明が呼吸するようにゆっくりと動く、来場者を迎えるように向きを変える、視線を特定の展示物へ誘導するといった表現により、空間全体が意思を持っているような体験を生み出す。プロジェクトのコンセプトである“Make Space Breathe.”は、このように空間を静的な容器ではなく、人に働きかける動的な存在へ変えることを表している。
さらに、本システムは、平時の空間演出と災害・緊急時の避難誘導を同一設備で実現する「フェーズフリー」の考え方を採用する。通常時にはアートや商業演出として空間の魅力やブランド価値を高め、緊急時には照明群の向きや動きを切り替え、出口や安全な移動方向を直感的に示す。これにより、空間演出への投資を安全対策にも活用し、日常的に利用される設備が非常時にも機能する新しい照明インフラを提案する。
GAPファンドプログラムでは、ライティング・ロボットの機構、群制御、安全運用、設置・撤去方法を含むシステムの高度化に加え、展示会場や商業空間などを主な対象として、演出効果、注目喚起効果、導入性、保守性、顧客ニーズ、価格受容性を検証する。空間設計・展示・イベント関連事業者との連携を進め、複数台のロボットと制御システムを一体化した導入パッケージとしての提供を想定している。最終的には、照明、ロボティクス、空間コンピューティングを融合し、空間体験と安全性を同時に高める新たな産業領域を創出することを目指している。
JST RISTEX(2023-2027) / 研究代表
サービス・モビリティと多形態コミュニティの繋がりによる社会的孤立・孤独予防モデル
プロジェクトホームページ
本プロジェクトは、社会的孤立・孤独を、個人の性格や人間関係だけの問題として捉えるのではなく、「どこへ移動できるか」「どのようなサービスや活動に出会えるか」「地域の多様なコミュニティとどのようにつながれるか」という、モビリティと社会参加の観点から予防する新たなモデルの構築を目指す研究である。高齢化や単身世帯の増加、地域活動の担い手不足、公共交通や生活サービスの縮小などにより、外出や交流の機会が減少すると、人は地域に暮らしながらも他者や社会との接点を持ちにくくなる。一方、移動販売、移動図書館、健康測定車両、相談支援、地域イベントなどの「サービス・モビリティ」は、生活上必要な機能を届けるだけでなく、人が外へ出るきっかけをつくり、偶発的な出会いや緩やかな交流を生み出す可能性を持つ。
本研究では、自治会や趣味の集まりのような従来型の地域コミュニティに加え、店舗、イベント、オンライン空間、移動サービス、一時的な集まりなどを含む「多形態コミュニティ」を対象とし、それらを相互に接続する仕組みを検討する。具体的には、孤独感、社会的ネットワーク、興味関心、生活行動、移動範囲、地域参加、性格傾向などを把握する大規模アンケート調査と、地域における実証実験を組み合わせ、社会的孤立・孤独とモビリティ、活動機会、コミュニティとの接続状態の関係を分析する。
さらに、本人の状態や関心に応じて、地域の店舗、イベント、活動、移動サービスなどを前向きに推薦する「コミュニティ・コンパス」を開発する。これは行動を一方的に促したり、孤独な人を特定して介入したりするものではなく、本人が自分の興味や可能性に気づき、自ら新しい選択肢を見つけることを支援する仕組みである。神奈川県大磯町や東京都豊島区などをフィールドとして、自治体、社会福祉協議会、商工・観光関係者、地域住民、民間事業者、研究者が協働し、健康測定、地域イベント、サービス・モビリティ、オンラインコミュニティ等を組み合わせた実証を進める。最終的には、孤立・孤独が深刻化してから支援するだけでなく、日常生活の中に多様な接点と参加の入口を埋め込み、誰もが無理なく地域や社会とつながり続けられる予防型の社会モデルを提示することを目指している。
NEWS
AIを活用した地域情報提供システム「コミュニティ・コンパス」を開発し、豊島区新保健所で長期実証実験を開始します
名古屋大学は、AmPlateaプロジェクトで開発した「コミュニティ・コンパス」を豊島区新保健所内の健康づくり支援拠点「わたしメンテラボ」に常設設置し、2026年5月7日から2027年3月31日まで長期実証を行います。体組成計で測定した身体データと地域活動情報を組み合わせ、AIが一人ひとりに合った地域コミュニティ、活動、散歩コース等を提案します。
プレスリリースPDF / わたしメンテラボ
JST CREST(2022-2028)/ 研究代表
多様な形態の現実を安心・安全に創り・繋ぐTrusted Inter-Reality基盤
プロジェクトホームページ
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本プロジェクトは、物理空間、仮想空間、遠隔地、個人の身体感覚や経験、文化的背景などから生まれる多様な「現実」を、安心・安全に生成し、共有し、相互に接続するための情報基盤を構築する研究である。従来のInternet of Things(IoT)が、現実世界のモノや環境をデータとしてネットワークにつないできたのに対し、本研究が提唱するInternet of Realities(IoR)は、同じ事実や空間であっても、人の経験、知識、文化、身体状態、置かれた文脈によって異なる形で知覚・解釈される「リアリティ」そのものを計算対象とする。
XR、ウェアラブルデバイス、センサ、ロボット、デジタルツイン、生成AIなどの発展により、私たちは遠隔地を訪れたり、他者の視点や体験を共有したり、現実には存在しない環境を体験したりできるようになった。一方で、情報の改変、なりすまし、プライバシー侵害、文脈の欠落、過度な誘導、意図しない情報共有、身体的・心理的な危害といった、従来の情報システムとは異なるリスクも生じる。本研究では、単にリアルな体験や利便性を追求するのではなく、信頼性、安全性、説明可能性、本人の意思と制御を組み込んだ「Trusted Inter-Reality基盤」の実現を目指す。
研究基盤は、現実世界の情報を計算可能な表現へ変換するReality Embedding、多様な現実を保持・提示するReality Hosting、複数の現実を安全に接続するReality Networking、利用者や目的に応じて現実の表現を変換・媒介するReality Transformationという機能を中心に構成される。これらを支えるため、情報の出所や改変履歴を検証する仕組み、利用文脈に応じたアクセス制御、状況に適応する機密性、動的な同意管理、人間中心の安全設計などを研究する。また、映像、音声、位置、行動、身体情報などを安全に統合し、仮想空間や遠隔地へ提示するとともに、仮想側からの操作や働きかけが物理世界へ与える影響についても保護の対象とする。
国内外における文化、観光、教育、コミュニケーション等の実証を通じ、異なる地域や文化的背景を持つ人々が、それぞれの現実を保ちながら相互理解や共有体験を形成できるかを検証する。本研究は、唯一の現実を再現・共有するのではなく、多様な現実が共存し、必要に応じて接続・変容されながらも、個人の尊厳、プライバシー、選択権が守られる次世代の情報社会基盤を確立することを目指している。